クリスのディオールが、どうしてもエディのディオールに敵わないといわれてしまう、4つの理由 – Vol.1

こんにちは。今回からコラムを担当させていただきます、木田と申します。

本業ではファッションデザイナーのお仕事をしておりますが、ご縁がありディオールオムについてコラムを書かせて頂くことになりました。しばらくお付き合いいただきますが、どうぞよろしくお願い致します。

今回のシリーズでは、「クリスのディオールが、どうしてもエディのディオールに敵わないといわれてしまう、4つの理由」として、数回にわたり連載させていただきます。

 

ディオール・オムの魅力は損なわれたのか?

さて、なにかと対比されることの多いディオール・オムの歴代デザイナー、エディ・スリマンとクリス・ヴァン・アッシュ。

ディオール・オムを成功に導いた立役者として、エディには「モード界の寵児」「ファッション界のカリスマ」といった輝かしい呼称がそえられる一方、その後任をまかされたクリスには前任者をいまひとつ越えられずにいるという言説がまかり通っています。

ですが、そんな両者を対立させる見方には少しだけ違和感をおぼえます。「エディの後釜」という重責を背負ったクリス。彼は延々と先のほうまで敷かれたレールの上をエディの幻影と並走することをどこか宿命づけられているようにさえ思えてきます。

まるで、はなから勝ち負けのない二人三脚をさせられているようでもあります。クリスに代替わりしたことで、はたして本当にディオール・オムの魅力は損なわれてしまったのでしょうか?

 

理由1 – 「エディ>クリス」という出来レース:期待値の異常な高さとありきたりの保守主義

クリスがエディに敵わないと言われてしまう理由の一つは、クリスに対する並はずれた期待の高さにあります。

エディによるディオールオムのデビューがあまりにセンセーショナルだったために、その後任であるというだけでもクリスには非常に高いハードルが課されてしまいました。

これを越えるには相当な新奇性に満ちたインパクトが必要です。しかし当時、売上げも好調を維持していただけに、クリスはある程度エディの辿った路線を踏襲することを要求されていたはずです。

そもそも、エディの右腕だったクリスがディレクターに就任したこと自体がその証左と言えるでしょう。

また、保守的な考えも影響していたと思われます。ファッションの世界に限らず、新しいものにはある程度の拒否反応がつきものです。

商業的に成功した映画や音楽作品の次回作は当たりづらいと言われるのと同じ論理が、エディとクリスの交代劇の場合にも働いていると言えるでしょう。

現在のシャネルのスタイルを確立したあのカール・ラガーフェルドでさえ、シャネルのデザイナーに就任した最初のコレクションでは「シャネルは(息を吹き返すどころか)墓にもどる」と酷評されました。

新しいというだけで、エディとクリスそれぞれのデザインの善し悪しとは全く関係なく優劣が判断されてしまったというわけです。クリスを批判することは、評論家にとっても一般的な消費者にとっても簡単なことですし、それがあたかも正しい振る舞いであるかようにみなされる傾向が否めません。

こうして「エディのほうがよかった」という言説が、深い思慮もなく増幅してしまった。クリスにとっては不幸なことに、二代目ゆえの苦しさを強いられているといったところでしょうか。

 

連載コラム: クリスのディオールが、どうしてもエディのディオールに敵わないといわれてしまう、4つの理由

1. 「エディ>クリス」という出来レース:期待値の異常な高さとありきたりの保守主義(本編)

2. 継母への嫌悪感:エディ信奉の喪失感のあらわれ(11/7公開予定)

3. 直感と理性:二人のデザイナーの方向性の違い(11/21公開予定)

4. ロックとクラシックにまつわる誤解(12/5公開予定)

5. これまでのまとめ(12/19公開予定)

 

 

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