クリスのディオールが、どうしてもエディのディオールに敵わないといわれてしまう、4つの理由 – Vol.3

こんにちは。コラムを担当させております、デザイナーの木田と申します。

今回は、連載「クリスのディオールが、どうしてもエディのディオールに敵わないといわれてしまう、4つの理由 」の第3回目になります。

 

直感と理性:二人のデザイナーの方向性の違い

三つ目の理由として考えられるのは、両者のデザインの方向性の違いです。

エディのディオールは、目にした時や袖を通した時に直感的に良さがわかるデザインと言えます。

研ぎすまされたミニマリズムに基づいて構築されたタイトなシルエットは、ただ細身というだけでなく、体型や体の動きを考慮しながら各所に黄金比を取り入れ、バランスを重視してパターンを起こしています。

表面的な特徴の華やかさもさることながら、エディのディオールにおいて最も重要なのは、技術の高いクチュールの伝統を活かしたディオールならではの服作りの手法にあり、その結果として、見た目の美しさと、実際に着たときにしっくりとくる感覚という、いずれも「体感しやすい」特徴を備えていました。

プレタポルテ史上、男性が着ることができる、初めての高品質で着心地のよいスリムな洋服という言い方もできるかもしれません。

一方、クリスのディオールにおいても、高い水準の技術に裏打ちされた着心地のよいミニマルでスリムなシルエットが継承されています。

その上で、さらに素材の質にこだわりを見せたり、着心地を重んじたり、また表面的なデザインのディテールからも極めて理性的な印象を受けます。

一言で表すなら、エディのディオールが直感的であるのに対して、クリスのディオールは頭で理解して着る服ということになるでしょう。

ですがデザインの現場から見た場合、両者のデザインの違いはそれほど大きなものではありません。

コレクションを立ち上げる際のコンセプトに違いはありますが、これは同一のデザイナーがシーズン毎に変えるレベルのものです。

実際、エディがデザインのイラストを描かず、ディレクションに徹している話は有名で、エディ期のディオールでもデザイン画を描いていたのはクリスらアシスタントでした。

エディが開拓したミニマルでスリムな路線を引き継ぎつつ、伝統あるメゾンならではの卓越した技術に裏打ちされた服づくりの手法をさらに押し進めることで、一見してそれとわかる、エレガントでクラシカルなスタイルを巧妙に表現しているのがクリスのディオールです。

これは文句無しにディオールオムにしかできないデザインで、もし現代においてムッシュ・ディオールがメンズ服を発表するとするなら、おそらくクリスのディオールに近いものになっていたことでしょう。

とはいえ、エディのディオールが直感的でわかりやすい魅力にあふれていて、それと比べるとクリスのデザインがやや難解であるというのは事実です。

表面的なデザインの方向性の違いが洋服のデザインの善し悪し全てを決めるものでないにせよ、エディのディオールがより多くの人にアピールしたことが、クリスがエディよりも劣っているというアンフェアな評価が流布してしまったことの理由の一つではないでしょうか。

 

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